デンバー大学の大平健悟です。2021年の秋シーズンを全米32位で終了し、冬休みで日本に帰国しました。このブログでは主に、今シーズンで学んだ一つのことについて書きます。
それは、選手の心の状態がサッカーのパフォーマンスにどれ程影響するかです。私はシーズン序盤の数試合で、自分のパフォーマンスが低いことを自覚していました。 そして、何が原因でそれは起きているのかを考えてみたところ、心、または頭の中に問 題があるとわかりました。睡眠は最低 8 時間取り、食事もとても気を使っていたの で、消去法でその結論に辿り着きました。私たちのチームはスポーツサイコロジストを 雇っているので、彼女と話す機会を持ち、まずは何が私の頭の中で(日本的にいうと“メンタル面で”)、起きているのかを教えてもらいました。詳しいことをここでは省略 し簡潔にまとめます。私の中で起きていたのは、試合でミスをした後、それを高校時代 の嫌な経験に結びつけ、それに執着してしまうことで次のプレーにうまく切り替えられ ないことにつながる、ということでした。少し具体的に話をすると、過去の消極的な経 験を思い出す時、人体は反射的にストレス下にいると錯覚し、体が強張り、視野が狭く なり、呼吸は浅くなります。どれも、サッカーにおいては喜ばしくない現象です。そし てそれが起きた時は、頭が過去や他の場所(ミスや失敗など)に囚われている状態なの で、現実に戻ってくる必要があります。それをトリガーする方法として、深呼吸が有名 です。日本でも今流行り出しているメディテーション(瞑想)も、ピッチの上ではない だけで、基本的にこれと同じ理論です。私の場合は彼女と相談して、ピッチの上で素早 くプレーが切れた時にできる、空を 3 秒間見上げることと決めました。
その他に、ピッチ外で行う治療として、頭の中で暗い記憶と経験を辿ってそれを 思い出した時の感度を鈍くするという治療、またはエクササイズをしています。これの 面白いところは、ただ経験を辿るわけではなく、そこに現在の自分を連れて行き、過去 の自分にどう話しかけるかを考えるということです。このエクササイズは、一回きりで 終わりではないので、今でもたまに、現在の自分を小平に連れて行きます。
サッカー選手として、食べるものや睡眠、筋肉や関節の状態に気を使うのは当た り前ですが、スポーツ心理学のアプローチをとって、頭の中の健康に目を向ける習慣が ある人は少ないのではないのでしょうか。スポーツをする以上、根性論は大切ですが、 全てをそれで片付けてしまうのは少し勿体無いですね。
大平健悟
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